飛鳥新社

#政治はなぜ失敗するのか

内容紹介

35歳でオックスフォード大学正教授に就任した、いま最注目の政治学者が、分断と格差の起源と解決という難題に鮮やかに答える！
―対立軸を組み変え、民主主義・福祉・繁栄した社会を持続可能にする、ほとんど唯一の狭い道。

政治はなぜ常に私たちを失望させるのか？　古代ギリシャから気候変動条約、ブレグ
ジットまで、私たちが集まると近視眼的選択の「罠」に落ちてしまう。それを回避す
べく、直感に反する最近の研究成果、例えば政治・社会的平等の増加が大きな不平等
をもたらし、不平等の高まりが民主主義を促す逆説などを活用して、現実政治の罠か
ら脱出する方法を生き生きと説明する。

◎世界的知性から寄せられた圧倒的賛辞の数々！

「ベン・アンセルは現代民主主義が直面するジレンマについて、世界をリードする専
門家だ。本書は、まさに私たち全員にとって最も重要な問題である政治への、説得力
に満ち、完全に引き込まれるような、鮮やかな理解を提供する」ダニエル・ジブラッ
ト『民主主義の死に方』（新潮社）共著者

「本書は美しく書かれていて魅力的だ。ベンは話すように書くという稀有な才能の持
ち主で、ストーリーテリングモードから『ここに事実がある』と踏みこむ時も魅力的
な読み物になっている。読者はもう、私たちがより良い世界に向かって着実に歩んで
はいない、というメッセージを受け取る準備ができていると思う。他方で絶望的な災
厄、つまり果てしない政治的分断や気候変動の黙示録だけが人類を待ち受けているわ
けでもない。真実はいつものように中道にある。政治はトレードオフのために困難に
なるが、より良い社会を築きたいなら、素朴な楽観主義や悲観主義を捨てて、もっと
洗練された認識を本書から得ることができる」クリストファー・ブラットマン『戦争
と交渉の経済学』（草思社）著者

「17世紀に社会科学が宗教から切り離されて以来、学者や知識人たちは、政府の最良
の組織方法や、人々が社会で共に生活する際に必然的に発生する問題や紛争にどう対
処すべきかについて取り組んできた。ベン・アンセルのこの本は、私たちが学んでき
た知識の叡智を結集し、私たちがより良い組織を作るのにそれがどう役立つかを示
す。私たちが生きる現在の世界にとって有益な一冊」 ジェイムズ・A・ロビンソン
『国家はなぜ衰退するのか』（早川書房）共著者

「この波乱の時代に、民主主義と平等の理念が今まで以上に重要になる。アンセルの
素晴らしい本は、なぜそれらが非常に重要で、どうすれば実現するかを説く必読書で
ある」ダロン・アセモグル『国家はなぜ衰退するのか』（早川書房）共著者

「近年の政治学研究は、他の社会科学分野と同様に、方法論の精緻化が進んでいる。
それによって、少しずつ因果関係を理解することができるようになっているのは確か
で、特に政治制度がどのように人々の行動に影響を与えるかについての知見は広がっ
ている。しかし、発見された因果関係が社会の中でどのような意味を持つのかは確定
しにくく、得られる知見は技術的な性格が強くなっていて『このようにすべき』とい
う指針を生み出すことが難しくなっている。そのような中で、本書の素晴らしいとこ
ろは、実証研究の積み重ねの上に立ちながら、その含意を引き出して包括的な社会ビ
ジョンを示し、そこに至る道筋を議論していくところだ。個々の分析が具体的な提案
に結びつきにくい研究であっても、それらをまとめるナラティブが生み出され、説得
的な社会理論として昇華されていく」砂原庸介・神戸大学大学院教授「監訳者解説」
より