著者 | アレクサンドラ・ラインヴァルト(著)・柴田さとみ(訳) |
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ジャンル | 小説・エッセイ・詩集 |
出版年月日 | 2020.10.14 |
ISBN | 9784864107778 |
判型・ページ数 | 四六判・並製・314ページ |
定価 | 本体1400円+税 |
それ、何となくダラダラと続けてない?
ムカつく友だち
ダレトク!?な仕事
めんどくさいSNS
むなしいダイエット・・・
私たちの人生には、幸せのおジャマ虫だらけだ。
1秒でも早く、
「自分のための時間」を取り返さなきゃ!――
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ドイツで70万部超 大ベストセラー!
133週連続トップ10にランクインし、
"ドイツ版ブリジット・ジョーンズ"と話題に!
オンナの本音を描いた「心と時間のお片付けエッセイ」が、
大人気マンガ家とコラボした日本オリジナル版として誕生!
★ ★ ★ ★ ★
大人気マンガ家、
瀧波ユカリさんも推薦!
「完璧な人間になるよりも、
もう少し軽く明るく生きたい...
そんな人にぜひ読んでほしい!」
『モトカレマニア』『臨死!! 江古田ちゃん』などのコミックで
全国の女子から共感を呼んだ瀧波ユカリさんが、
表紙や本文中のイラストをすべて書き下ろし!
★ ★ ★ ★ ★
「はじめに」より抜粋
▼ 人生最高の瞬間は、突然おとずれた ▼
そもそものはじまりは、女友達のカトリンに「くたばっちまえ!(F**k you!)」って告げたことだった。
......いや、ちょっと言い訳させてほしい。
わたしは基本、他人にそんなこと言わない。
くたばっちまえとか、そんな人様の絶命を願うような下品な言葉をやたらと連呼するタイプじゃないので。
いついかなるときも。
......車の運転中は、まあ別として。
でも、カトリンって人は――これは声を大にして言いたいのだけど、彼女はよくいる例の、あのタイプの女性だった。
ほら、いるでしょ?
話してると常にこっちが悪いみたいな空気になって、その罪悪感に微妙につけ込んでくる人。
グチってばかりで自分では何ひとつ変えようとしない人。
紙パック入りのジュースをチュウチュウ吸う子供みたいに、こちらの気力を吸い取っていく人。
わたしにもだんだんとわかってきた。カトリンはうつ病なんかじゃなく、ただの「ザンネンな人」なんだってことが。
なぜもっと早くカトリンと縁を切らなかったのか、自分でもうまく説明できない。
そして、そのことに薄々気づきはじめてからは、今度は彼女と正面からぶつかるのを避けてきた。
(中略)
そしてわたしはこの縁切りミッションをいかに完遂すべきか頭を悩ませていた。
気まずい思いをしないためにはどうしたらいいか......。
悩んだすえ、いくつか別の案を考えてみた。
・恋人を代理人として派遣する
・カトリンにはわたしが非業の死を遂げたとでも思わせておいて、どこか別の土地で人生をやり直す
・ガチで非業の死を遂げる
だが、やがて決定的瞬間は訪れた。
そのとき、わたしはちょうどカトリンとカフェにいた。
ラッキーだったのは、彼女があまりにもクソだったので、こみ上げる感情をそのままぶつけることができたってこと。
怒りの波に乗って、わたしはその歴史的瞬間を迎えた。
「カトリン?」
「なあに?」
「くたばっちまえ!(F××k you!)」
それくらい別にたいしたことないじゃんって思う人もいるかもしれない。
でもそのときのわたしは、身長二メートルのジャンヌ・ダルクになった気分だった。
そのまま席を立ち、カフェの出口に向かう。
まるで、スローモーションでリングに向かうボクサーみたいに、トランペットやら何やらを総動員した感動的なBGMを背に、わたしは退場をキメた。
きわめつけにコートの裾をばさっとはためかせたもんだから、近くの棚にのっていたビラの束が派手に吹き飛ぶ。
とばっちりを受けたビラがひらひらと床に舞い落ちるなか、わたしは顔を高く上げ、外に歩み出た。
そのまま店先で待つ愛馬の背に飛び乗って、さらなる冒険の旅へ――なんて西部劇みたいな展開になっても不思議じゃない勢いで―――
<著 者>
アレクサンドラ・ラインヴァルト
作家・プロデューサー。1973 年、ドイツ・ニュルンベルク生まれ。スペイン・バレンシア在住。広告代理店で撮影コーディネーターやコピーライターとして働くかたわら執筆活動を開始。誰もが日常生活で直面する問題を掘り下げ、解決するまでを軽妙に描くスタイルが支持され、複数の作品がベストセラーになっている。
本書『Am Arsch vorbei geht auch ein Weg』は、ドイツでノンフィクション部門の第2 位にランクイン。その前後2 年以上にわたり10 位以内にとどまり続け、発行部数は70 万部超に。著者を代表する大ベストセラーとなった。
<訳 者>
柴田さとみ
ドイツ語・英語翻訳家。東京外国語大学卒業(ドイツ語専攻)
主な翻訳書に『母さん もう一度会えるまで―あるドイツ少年兵の記録』(毎日新聞社)、『とっさのしぐさで本音を見抜く』(サンマーク出版)、共訳書にミシェル・オバマ著『マイ・ストーリー』(集英社)、『炎と怒り――トランプ政権の内幕』(早川書房)などがある。
<イラスト>
瀧波ユカリ
漫画家・エッセイスト。
日本大学芸術学部写真学科卒業。2004 年、4 コマ漫画『臨死!! 江古田ちゃん』でアフタヌーン四季賞大賞を受賞しデビュー。同作は女性からの圧倒的な支持を得てテレビドラマ化・アニメ化された。現在は、元彼との関係に悩みながら成長する女性を描く『モトカレマニア』を連載中。同作も2019 年にテレビドラマ化された。他に、母の闘病と看取りを描いたエッセイ漫画『ありがとうって言えたなら』、自身の子育てを記録した『はるまき日記』など著書多数。札幌市在住。